サイドスロー投手のデメリット【弱点を全部公開】

ピッチング

サイドスローに投げ方を変えようか悩んでいるピッチャー「今のままではチームのエースになれそうにないから、思い切ってサイドスローに投げ方を変えようか悩んでいます。もし投げ方を変えたら今までの上から投げる投げ方と比較してどんなデメリットがあるんだろう?投げ方を変える前にその辺りを詳しく知りたいです。」

こんな疑問に答えます。

今回のテーマ

  • サイドスローで投げるデメリットを学習する

実際にサイドスローで投手をしていて感じるのですが、サイドスローはオーバースローやスリークォーターといった投げ方と比較して「メリットはとても大きいが、同時にデメリットも大きい」という極端な投げ方でもあります。

具体例として、テレビでプロ野球を見ていると…予告先発で右サイドスロー投手が発表されたら左バッターを並べてくるといった対策がされやすいという理由から、サイドスローの先発ピッチャーは多くありません。

しかしどのチームにも、ブルペンで待機するリリーフピッチャーの中には必ず1人や2人はサイドスローの投手は存在し、下記のようなサイドスローのメリットが最大限生かせる場面で登板してはきっちり役目を果たしてくれます。

  • 中盤・終盤のピンチの場面
  • どうしてもダブルプレーが取りたい場面
  • 右vs右・左vs左となる場合で強打者・好打者へのワンポイント
  • 相手打線の目先を変える目的で、自チームの速球派投手の前後

そこで今回は、そんなサイドスローのデメリットの部分についてフォーカスし、解説しようと思います。

サイドスロー投手のデメリット【弱点は全部で6個】

今回は、サイドスローで投げるデメリットについて解説していきます。

具体的には下記の通り。

  • その①:球速・球威が出にくい
  • その②:左右のコントロールがつけにくい
  • その③:縦の変化球が投げにくい
  • その④:「右 vs 左」「左 vs 右」の構図に弱い
  • その⑤:下半身への負担が大きい
  • その⑥:1度転向を決めて取り組むと、元には戻せない

こんなにデメリットがあると「サイドスローってダメじゃん」と思う方が出てくるかもしれませんが、冒頭申し上げた通り、その分メリットも多い極端な投げ方なのです。

今回の記事と対になる「サイドスローのメリット」については下記にまとめましたので、あわせて読んで頂けるとさらに知識を深堀りできるかと思います。

デメリットの話ばかり掘り下げるので少しブルーになるかもしれませんが、順に解説していきます。

その①:球速・球威が出にくい

オーバースローやスリークォーターと比べると、サイドスローは球速が出にくいです。

単純に考えれば分かるのですが、具体的な理由は下記の通り。

  • ①:サイドスローは上から下へ投げおろさないので重力が使えない
  • ②:投球動作を始めてからリリースまでの利き腕の移動距離を比較すると、オーバースローやスリークォーターと比べてサイドスローは移動距離が短い

②についてわかりづらいかもしれないので補足

走り幅跳びをイメージしてもらえるとわかりやすいかも知れません。

より遠くまで跳ぶためにジャンプでより強い力を発揮するには、助走距離が長ければ長いほど遠くへ跳ぶことができます。

同様に、球速を出すためにリリース時にボールに強い力を伝えるためには、投球動作の開始からリリースまでの利き腕の移動距離も長ければ長いほど強い力をボールに伝えることができます。

そして球威の話ですが…球威は球速と比例の関係にあるので、球速と同様に球威もオーバースローやスリークォーターと比べるとサイドスローは出にくいと言えます。

しかし、速いストレートがあるのは魅力

いくら球速が出にくい投げ方といっても、速いストレートを投げたいと思うのがピッチャーの本能というもの。

下記に私が高校時代に半年で球速が8キロ上がった練習方法をまとめましたので、興味がある方は参考にどうぞ。

その②:左右のコントロールがつけにくい

オーバースローやスリークォーターで投げていた投手がサイドスローに転向する理由として特に多いのがコントロールの向上を狙ったパターンです。

オーバースローやスリークォーターの投手は上から下へ腕を振るので、少しリリースポイントがずれてしまうと高めに大きく外れたり、叩きつけてワンバウンドになるといった高低のコントロールに苦しむ場合があります。

このような高低のコントロールに苦しむピッチャーには、ランナーが出た時は常にワイルドピッチの不安が付きまといます。

一方サイドスローの場合、腕の高さは一定のまま横に振るので高低のばらつきは少なく、ストライクを取るにあたって高低のコントロールに苦しむことは少ないと言えます。

しかし腕を横に大きく振るので、オーバースローやスリークォーターと比べて左右のコントロールに苦しむ場合があります。

引っかけたり・抜けたりして左右に大きく外してしまうとデッドボールになってしまう恐れがあるので、サイドスローで投げる際には出来るだけ力を前に伝えることが重要です。

その③:縦の変化球が投げにくい

腕を横に振るのでボールが横回転になりやすい理由から、サイドスローはフォークなど縦に変化する変化球が投げにくいです。

逆に、スライダーなど横に変化する変化球はとても投げやすいです。

そのため、狙って空振りを奪うのはオーバースローやスリークォーターと比べて難しいので、空振りを狙うよりも左右に曲げて芯を外すピッチングを心がけましょう。

その④:「右 vs 左」「左 vs 右」の構図に弱い

一般的に「右ピッチャーは左バッターに弱い」同様に「左ピッチャーは右バッターに弱い」と言われますが、サイドスローの場合は特にこの相性の悪さが顕著に出ます。

その理由は、角度の関係から球の出どころが見えやすいからです。

レベルの高いピッチャーになると、リリースの瞬間まで腕を体で隠し、球の出どころを見にくくするような対策をして投げて来ます。

しかしこの投げ方は、腕を縦に振るオーバースローやスリークォーターだからできるもので、腕を横に振るサイドスローで行うにはとても難しいです。

そのため、バッターはボールの位置を投球動作の開始からリリースまで目で確認しやすく、とてもタイミングが取りやすくなります。

だからと言ってそう何度も打たれる訳には行きません

「右のサイドスローだから左バッターには弱い」「左のサイドスローだから右バッターは苦手」と諦めては大事な試合で勝つことはできません。

このような苦手な相手と対戦する時の対策について下記にまとめましたので、興味がある方は参考にどうぞ。

その⑤:下半身への負担が大きい

横の角度をさらに付けるために「インステップ」をして投げるサイドスロー投手は、他の投げ方のピッチャー以上に下半身に負担がかかるので、ケガのリスクが付きまといます。

その理由は、通常のステップより体が回転しにくいインステップをした状態から、無理やり体を回転させるからです。

その結果、下半身(特にひざと股関節)への負担が大きくなります。

あまり情報価値はないかもしれませんが…実際に私(右サイドスロー投手)がケガをしてしまう箇所で多いのが①:右肩②:左ひざの内側③:股関節という順番です。

ケガで大事な試合に出場できないといったことがないように、体のケアは十分行いましょう。

その⑥:1度転向を決めて取り組むと、元には戻せない

「サイドスローに挑戦してみて、合わなかったら元の投げ方に戻せばいいや」という考えで転向するなら辞めた方がいいです。

私は、高校2年のオフに監督の指示でオーバースローからサイドスローに転向しました。

しかし、最初は上手く投げれる感覚がまったく無く、本格的に転向する練習を初めて1週間経過した時に「ダメだ、元に戻そう」と思って元の投げ方でピッチングをしようとしたところ…

たった1週間で、体が小学4年生からピッチャーを始めて8年間続けてきた投げ方を完全に忘れていました。

投げ方を大きく変えるのは「片道切符」みたいなもので、上から投げるのと横から投げるのでは体の使い方がまったく別です。

サイドスローに転向すると決めたなら最後まで貫き通す覚悟を持ってやらないと、投げ方が中途半端になって下手くそになってしまいます。

 まとめ

最後にサイドスローのデメリットについてまとめます。

  • 球速と縦の変化球が投げにくい観点から、狙って空振りを取りにくい
  • 高低のばらつきは少ないが、左右のコントロールがつけにくい
  • ボールの出どころが見やすいので「右 vs 左」「左 vs 右」の構図で特に弱い
  • インステップで投げる場合、下半身への負担が大きい
  • 1度転向を決めて取り組むと、元には戻せない

こんな感じです。

ここまでサイドスローのデメリットについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。

繰り返しますが冒頭申し上げた通り、デメリットが多い分、メリットも多い極端な投げ方です。

下記にまとめた「サイドスローのメリット」を今回の記事とあわせて読んで頂けると幸いです。