サイドスロー投手のメリット【長所をすべて公開】

ピッチング

サイドスローに投げ方を変えようか悩んでいるピッチャー「今のままではチームのエースになれそうにないから、思い切ってサイドスローに投げ方を変えようか悩んでいます。転向するならサイドスローの特徴を活かしたピッチングをしたいので、サイドスローのメリットについて詳しく教えて下さい。」

こんな疑問に答えます。

今回のテーマ

  • サイドスローで投げるメリットを学習する

実際にサイドスローで投手をしていて感じるのですが、サイドスローはオーバースローやスリークォーターといった投げ方と比較して「メリットはとても大きいが、同時にデメリットも大きい」という極端な投げ方でもあります。

具体例として、テレビでプロ野球を見ていると…予告先発で右サイドスロー投手が発表されたら左バッターを並べてくるといった対策がされやすいという理由から、サイドスローの先発ピッチャーは多くありません。

しかしどのチームにも、ブルペンで待機するリリーフピッチャーの中には必ず1人や2人はサイドスローの投手は存在し、下記のようなサイドスローのメリットが最大限生かせる場面で登板してはきっちり役目を果たしてくれます。

  • 中盤・終盤のピンチの場面
  • どうしてもダブルプレーが取りたい場面
  • 右vs右・左vs左となる場合で強打者・好打者へのワンポイント
  • 相手打線の目先を変える目的で、自チームの速球派投手の前後

そこで今回は、そんなサイドスローのメリットの部分についてフォーカスし、解説しようと思います。

サイドスロー投手のメリット【長所は大きく分けて5つ】

今回は、サイドスローで投げるメリットについて解説していきます。

具体的には下記の通り。

  • その①:全体的にコントロールがよくなる
  • その②:ストレートが動く
  • その③:「右 vs 右」「左 vs 左」の構図でめっぽう強い
  • その④:横の変化球が投げやすい
  • その⑤:継投でアクセントになる

「こんなにメリットがあるならサイドスロー投手もっと多くてもよくない?」と思う方が出てくるかもしれませんが、冒頭申し上げた通り、その分デメリットも多い極端な投げ方なのです。

今回の記事と対になる「サイドスローのデメリット」については下記にまとめましたので、あわせて読んで頂けるとさらに知識を深堀りできるかと思います。

それでは早速解説していきます。

その①:全体的にコントロールがよくなる

オーバースローやスリークォーターで投げていた投手がサイドスローに転向する理由として特に多いのがコントロールの向上を狙ったパターンです。

この「サイドスローに転向したらコントロールがよくなる」というのを正確に表現すると…「高低のばらつきが少なくなる」という表現になります。

コントロールの悪いオーバースローやスリークォーターの投手がランナーを背負った時に、大きく上にそれたり、ワンバウンドになる暴投を投げて進塁を簡単に許す場面を見たことはありませんか?

そうなる原因は腕を振る方向にあり、オーバースローやスリークォーターの投手は上から下へ腕を振るので、リリースポイントが安定しない場合は高低のコントロールに大きく影響するからです。

一方サイドスローの場合、腕の高さは一定のまま横に振るので高低のばらつきは少なく、大きく上にそれたり、ワンバウンドの球で進塁を何度も許す可能性は少ないと言えます。

「すっぽ抜け」や「引っかける」ボールには注意

サイドスローの投手がコントロールの面で気を付けたいのが「すっぽ抜けたボール」「引っかけたボール」です。

腕を横に大きく振って投げるので、上記のようなボールを投げてしまった場合…横に大きく外れてしまいやすいので、相手バッターに当たってデッドボールを与えてしまう危険があります。

そうならないように、サイドスローで投げる際には出来るだけ力を前に伝えることを意識して投げることが重要です。

その②:ストレートが動く

腕を横に振って投げるので、サイドスロー投手が投げるストレートは縦回転になりにくく、バッターの手元でシュートしたり沈んだりと1球ごとに違う変化をします。

そのため、ストレート狙いのバッターが芯で捉えたつもりでも少し外されてゴロの打球が多くなります。

人差し指と中指をくっつけて握るとさらに動くように

一般的にストレートの握りは、人差し指と中指の間を指1本分空けて握ります。

しかし…指の間を空けずにくっつけて握ることで、リリース時にボールに加える力を「より狭い範囲により強く」することができます。

その結果、ストレートの動きをより大きくすることができます。

動くストレートに球速が増せば、攻略難易度は一気に上がる

ただでさえ芯でとらえにくい動くストレートに球速が加われば、攻略難易度は一気に上がります。

代表的な例として、以前ヤクルトスワローズの守護神だったイムチャンヨン投手が「蛇直球」という愛称の付いたサイドから160キロ近い動くストレートを投げて大活躍していました。

球速アップの参考として、下記に私が高校時代に半年で球速が8キロ上がった練習方法をまとめましたので、興味がある方は参考にどうぞ。

その③:「右 vs 右」「左 vs 左」の構図でめっぽう強い

一般的にピッチャー側から見たバッターの右左の相性として「右ピッチャーは右バッターには有利だが、左バッターには不利(左ピッチャーは左バッターには有利だが、右バッターには不利)」と言われます。

そのため、絶対に打たれたくない場面で相手の主力打者が登場してきた場合、守備側はワンポイントリリーフとして「右バッターなら右ピッチャー」「左バッターなら左ピッチャー」を登板させますが、この組み合わせの時サイドスローの場合は相性の良さを思う存分発揮します。

これはサイドスロー投手が武器とする横の角度が理由で、具体的な説明は下記の通り。

具体例:右ピッチャー vs 右バッター

サイドスローのピッチャーがストレートを投げる際に、ボールを離す位置は他の投法と比較してバッターの背中側になります。

そのため同じストレートでも、背中側から徐々に離れていくような軌道になるので距離感が掴みづらく、バッターからしてみればアウトコースがより遠く感じる感覚を受けます。

この角度という特徴をさらに利用して打たれないようにする手法についてもそれぞれまとめましたので、興味のある方は参考にどうぞ。

その④:横の変化球が投げやすい

サイドスローは腕を横に振って投げるのでボールの回転が横回転になりやすく、その影響から横に曲がる変化球がとても投げやすいです。

特にスライダーは他の投げ方と比較して比較的簡単に横に大きく曲げることができるので、投球の軸となってくれます。

フォークなど縦に落ちる変化球は投げにくいので、空振りを狙って取るには苦労するかもしれませんが、左右に曲がる横の変化球とその②で紹介した動くストレートを組み合わせて相手バッターからゴロを量産する投球ができます。

このような芯を外して打たせて取るピッチングのおかげで、球数を抑えて長いイニングを投げやすくなったり、ダブルプレーが欲しい時に狙って取れる確率も高くなります。

その⑤:継投でアクセントになる

サイドスロー投手の前後にオーバースローの速球派投手を登板させるといったように、違うタイプのピッチャーで継投していくことで相手打線の感覚を狂わせ、打ち取りやすくすることができます。

継投でも、似たような投手が次々と出てくるより、タイプが違う投手が出て来た方が相手打線のリズムを崩しやすいので、このような役割は少数派のサイドスロー投手がうってつけです。

 まとめ

最後にサイドスローのメリットについてまとめます。

  • コントロールがよくなり、暴投のリスクが減る
  • ストレートが動くので、芯でとらえにくくなる
  • 横の角度を利用した投球で「右 vs 右」「左 vs 左」の対戦で強い
  • 横の変化球が投げやすい
  • 打たせて取るピッチングがしやすい
  • 継投でアクセントになる

こんな感じです。

ここまでサイドスローのメリットについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。

繰り返しますが冒頭申し上げた通り、メリットが多い分、デメリットも多い極端な投げ方です。

下記にまとめた「サイドスローのデメリット」を今回の記事とあわせて読んで頂けると幸いです。